天珠の中の龍神のお話

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伊勢への旅は夜中にはじまります。

 

真っ暗なので、景色も変わらず、時々眠くなってしまうため

少しずつ休みながら移動します。

 

実は伊勢へは数日前にも行っていて

その時はすぐに帰ってしまったので

もう一度向かうことにしたのでした。

 

つい数日前に通ったばかりの道を見つめながら

ふと、少しだけ立ち寄った神社のことを

ぼんやり思い出していました。

 

 

 

 

数日前のこと−。

 

 

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伊勢からの帰り道、ある神社に立ち寄ることにしました。

 

その日は朝から大雨で、運転するのも危ないように感じられました。

龍神はいつだって雨を呼んでしまうからです。

 

 

 

 

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そこはこの龍の天珠にまつわる神社でした。

この天珠は確かに最初、何か入っていました。

でも、その当時は特に気にしていませんでした。

 

けれど、いつの頃からか感じが変わってきて

もう少し向き合ってみることにしました。

しっかり内容を聞いたのはずいぶん前になるのですが

それにまつわる神社がそこなのだと聞きました。

 

ある日のこと、

私はこの龍の天珠に話しかけました。

 

「お話を聞かせてください」

 

精神を統一し、しばらくすると

ヌーっと龍が現れました。

 

 

 

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それは以前見た龍の子どもとは違って

紫色をした成体の龍でした。

 

「おお…」

 

この龍は我々がイラストで見る格好の良い龍と違って
もっとずんぐりとしていますが、でも確かに龍の形をしていました。

ただ、龍というのは、あまり顔は美しくないように思います。

 

「お名前は?」

 

『紫龍。いにしえでは、ズゥーロン。
大陸から渡って来た。
竜王の3番目の子でホローと言う。
名はブイ。
この国と伊勢神宮の守りをしておる。
願いも叶える。
そなた様が伊勢で天照大神に逢いに来られた際、ここに入り込んだ。
白い蛇も龍の遣いであり、依代にもなるので
蛇の石でもよかったが、この石の方が入りやすかった。』

 

「そうですか。
でも、この石にはもともと何かあったように思うのですが。」

 

『もともと大陸の龍が入っておった。
我が入る時、逃げていった。』

 

「そうでしたか。
でも、どうしてここに入ったりしたのですか?」

 

『これが、入りやすかった。
そなた様の遣いになりたかった。』

 

「遣い?私には狐がおります。」

 

『この石を握りしめて念じればよい。
伏見に遣いを出したい時などでも
伏見に行って尾白殿を呼んで参る。』

 

※尾白は七つ白狐の愛称。
ウカノミタマノカミもこの名で呼びます。

 

 

「なんだか悪いですね…。
出番があるか分かりませんが
よろしくお願い致します。
それで、どこから来られたのでしたっけ?」

 

『我は福王神社から参った。』

 

「ふくはら?ふくおう?おう?」

 

 

この時、初めて福王神社という名前を知ったのですが

興味本位で、いつか行ってみようと考えていました。

 

遠かったら行くのは止めようと思ったのですが

場所を調べてみたら、同じ三重県でした。

 

 

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ところが向かってみようと思った日は朝から酷い大雨で

「これだから龍は…」なんて言いながら運転をしていました。

 

そこで私は念じることにしました。

 

「雨を止ませて。
神社に居る間だけ…」

 

 

 

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そこから5 分くらいだったと思うのですが

福王神社に近くにつれて小雨に変わり

とうとう雨があがりました。

 

 

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福王神社の看板が見えると

突然、懐かしくなりました。

 

そしてこんなことを口にしていました。

 

「懐かしいなぁ。高い木がたくさんあるんだ。

境内の後ろにとりわけ高い木があって、

その木に乗って遊んだんだ。」

 

 

 

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そうして数分後、神社の入り口に到着しました。

 

 

※高画質でご覧ください。音が出ます。

 

 

神社には誰も居なくて、他に人が居ないと思うと

とても開放的な気分になりました。

私はいつも人目を避けているからです。

 

 

 

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この神社は広いのか、ずいぶん奥まであるように見えました。

 

 

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「ここはどういう神社ですか?」

 

『ここをつくったのは天皇で
1400年くらい前に建てられた。
戦いの神を祀り、色々な神を祀って戦勝を祈った。
だから、ここは毘沙門天を前面にだしている。』

 

 

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確かにここは入り口に毘沙門天の社があるようでした。

 

 

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それと天狗も祀っていそうです。

 

『喉が乾いた…』

 

「え?あ。
あそこに手水があります。
水をかけますね。」

 

 

 

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石に水をかけると、もう一度、後ろをふりかえりました。

 

 

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「階段が多いな…。
上まで結構ありそうだし、登るのは止めようかな。」

 

『300mほどしかない。』

 

「…。」

 

 

 

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龍と話すだけでも疲れるのに

階段を登るなんて、家に帰れないかもしれないと思いながら

それでも、ゆっくり登ってみることにしました。

 

 

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この神社は階段が多く、足が悪い方は登れないと思いました。

そのため、よろしければ、ここからは動画を通じて

ご一緒させて頂ければと思います。

 

 

 

 

上に向かうにつれて、大きな高い木々が目立つようになりました。

この神社は人気もなく、うっそうとしていて暗いですが、

どこか清々しい気持ちになる神社だと感じました。

 

 

 

 

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ここには小さな祠や社が点々とあります。

 

でも、どこにも龍ということが書いていなくて

もしかしたら、もう忘れられてしまったのかもしれないと思いました。

 

 

 

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雰囲気があって綺麗な神社です。

 

陽の光がさしたら、もっと神秘的にうつるかもしれません。

自分がここの主だったら、静かで厳かで、気持ちが休まるように感じます。

 

「ブイ殿は、龍神ということは
やっぱり水を支配するのですか?」

 

『龍の子はみな水を司る。
火を司る子もおる。
我は水と戦いを司どり
2800年ほど前に天から降りてきた。』

 

「ええ」

 

『以前は大陸におった。』

 

 

 

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およそ10分ほどで、拝殿が見えてきました。

 

長いように感じましたが、

確かに300mくらいだったように思います。

 

 

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左手の社務所?の裏手に、

以前はもっと大きい、高い木があったはずで

そこが遊び場だったと思います。

 

 

 

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拝殿には天狗のお面もありましたが

やっぱり龍はありませんでした。

 

 

『この神社はウカノミタマノカミや天照大神も来る。
その他、犬や狐など、獣たちが守っておる。』

 

 

そして、この天狗は猿田彦命のことなのだそうです。

 

 

 

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「ブイ殿。
あなたは誰の
3番目の子どもなのですか?」

 

『龍王。』

 

 

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「龍王…」

 

『龍王は、全能の神の遣い。
アメノミナカヌシの遣い。
我ら子どもは他の神に仕えるが
龍王は他の神の遣いはしない。』

 

 

そんな話をしながら、しばらく息を整えていました。

やっぱり話をしながら、運動もするというのは

無茶な気がしました。

かなり疲れてしまって、へたり込んでしまいました。

 

 

10分ほどして、そろそろ帰ろうと思い

ゆっくり反対側の階段を降りてゆくと

こんなものが見つかりました。

 

 

 

 

4分44秒あたりでそれは見つかりました。

 

 

ブイ殿の言っておられたことは本当だったと

この時、確信しました。

 

もっと昔は龍神の色が濃かったのかもしれませんが

後から戦勝祈願が毘沙門天になり

龍神色が薄まったのかもしれません。

 

 

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忘れられてしまった神社のことや

名もなき神の名前、伝承、そういったものをお伝えすることが

私にできる、ごくごく小さなことです。

言い換えれば、それ以外、他には何もできないとも言えます。

 

 

 

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神社を出て、しばらく景色を眺めていました。

 

そうして車に乗り、走り出すと

すぐに雨が降ってきました。

 

 

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前が見えないほど降り出してきて

高速道路をゆっくり走ることになりました。

 

 

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「これだから龍神は…」

 

そんなことを呟きながら

帰路をたどったのでした。

 

 

 

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